
はじめに|AI時代のホームページ制作が始まっている
近年、AI(人工知能)の進化は目覚ましく、私たちの仕事や生活のあらゆる場面に変化をもたらしています。
ホームページ制作の分野も例外ではありません。以前までは専門的なスキルを持ったデザイナーやエンジニアでなければ難しかった作業が、AIツールの登場によって、驚くほど簡単かつスピーディに実現できるようになってきました。
実際に弊社でも、「AIをホームページ制作にどう活用できるか」について、社内で積極的に議論を進めています。
AIをうまく活用すれば、制作の効率化はもちろん、これまで以上にユーザーの心に響くホームページを作ることも可能になります。
一方で、AIには“便利さ”と同時に“落とし穴”もあります。とくに問題視されているのが、AIが事実とは異なる内容を生成してしまう「ハルシネーション」という現象です。
本記事では、ホームページ制作の現場で活用されているAIの具体例をご紹介するとともに、活用時の注意点として知っておくべき「ハルシネーション」についても詳しく解説します。
1. ホームページ制作におけるAI活用の具体例
1-1. 画像生成AIは“素材づくり”に限定して活用
画像生成AIは、短時間で多様なイメージ素材を出力できる便利なツールです。
弊社でも試験的に導入し、Webデザインのラフ案作成やイメージ共有のための素材づくりに活用しています。
たとえば、トップページや記事内に使用するビジュアルの構成を検討する段階で、「雰囲気のたたき台」としてAI生成画像を使うことがあります。
ただし、実際に試してみるとお分かりいただける通り、現在のAI画像には、構図や細部の精度、質感の再現性といった面でまだまだ課題が残ります。
そのままホームページに使えるレベルに達しているとは言えず、現段階ではプロのデザイナーによる仕上げが必須です。
私たちは、AIを“人の発想や制作を補助する道具”として捉え、素材の一つとして限定的に活用することを基本方針としています。
「AIで完結」ではなく、「AIを起点に、最終的には人間の目と手で完成させる」――この姿勢が重要です。
1-2. テキスト生成AIでキャッチコピーや説明文のアイデア出しに活用
コピーライティングにAIを使うケースも増えています。
サービス紹介のキャッチコピーや、各ページの説明文、よくある質問(FAQ)など、ホームページ内のさまざまなテキストをAIで一度生成してから、内容を調整・編集するスタイルが一般的です。
たとえば、「福岡で地域密着のビジネスを展開している中小企業向けの、信頼感ある表現をしたい」といった抽象的な要望に対して、AIは複数の文案を出してくれるため、コピーの方向性を決めるヒントとして活用できます。
もちろん、最終的なライティングは人の手による確認とリライトが不可欠です。
ニュアンスの細かさや文脈理解において、AIはまだまだ完璧ではありません。とはいえ、文章制作の初期段階で“考える時間”を短縮できる点では大きなメリットがあります。
1-3. コーディング支援でHTML・CSS・JavaScriptも生成可能
最近のAIは、テキストや画像だけでなく、HTMLやCSSといったWebページの構造そのものを構築するコードも自動で生成できます。
たとえば、以下のような作業が可能です:
- お問い合わせフォームのHTMLコードを自動生成
- レスポンシブ対応のナビゲーションメニューのCSSを作成
- スクロール時のアニメーションや動きのあるUIパーツのJavaScriptコードを作成
こうしたコードをゼロから書くとなると、初心者には難易度が高く、上級者でも時間がかかる場合があります。
AIはコーディングの「雛形」をスピーディに提示してくれるため、制作のスピードアップやミスの削減にもつながります。
ただし、AIが出力したコードが常に最適とは限りません。セキュリティやブラウザ間の互換性など、人の目によるレビューと調整が不可欠です。
1-4. SEO対策や競合分析にもAIが活躍
AIを活用すれば、SEOに関する作業も効率化できます。
たとえば:
- 指名検索・ニーズ検索に応じたキーワードの提案
- 上位表示されている競合サイトの構成や文字数、キーワード分布の分析
- ページタイトルやメタディスクリプションの自動生成案の作成
従来は専門のツールや分析スキルが必要だったこれらの作業も、AIが一定のレベルで代行できるようになっています。
SEOの初期設計や方向性確認においては、AIが強力なアシスタントになるといえるでしょう。
このように、AIはホームページ制作のさまざまな工程で活用可能ですが、あくまで「道具のひとつ」であり、使い方を誤るとリスクも伴います。
次の章では、こうしたAI活用のメリットや、今後の可能性について詳しく見ていきます。
2. AI活用のメリットと今後の可能性
AIの導入は、ホームページ制作において単なる作業の自動化にとどまらず、制作プロセスそのものの再定義を促しています。
ここでは、AIを活用することで得られる主なメリットと、今後の可能性についてご紹介します。
2-1. 制作スピードの向上とコスト削減
最大のメリットは、制作スピードの向上と、それに伴う人的コストの削減です。
AIが一次案(たたき台)を短時間で用意することで、制作チームはその先のブラッシュアップや戦略立案に時間を割くことができます。
たとえば:
- デザインの素材案をAIで複数生成して方向性を絞る
- コピーの候補文を出して議論のベースにする
- コーディングの初期構造をAIが用意し、人が最適化する
といった使い方により、従来の「ゼロから作る」スタイルから、「AIの叩き台をベースに仕上げていく」スタイルへとシフトしています。
これにより、特に中小企業や個人事業主の方が「限られた予算内で質の高いホームページを求めるケース」にも柔軟に対応できるようになります。
2-2. 発想の幅を広げるアイデアソースとして
AIは「制作の効率化」だけでなく、「発想の補助ツール」としても非常に有効です。
人間の頭の中だけでは偏りがちな表現や構成に、外からの新しい視点を提供してくれる存在として活用できます。
たとえば、AIに「福岡の伝統と現代的な感覚を融合させたコピーを考えて」と入力すると、自分では思いつかない言い回しや構成案が返ってくることがあります。
こうしたインスピレーションは、制作チームのクリエイティビティを刺激し、結果的により質の高いホームページの完成につながることもあるのです。
2-3. 小規模事業者でも一定の表現力を手に入れやすくなる
本来、質の高いデザインやコピー、構成設計には、経験豊富なプロの力が必要です。
しかし、すべてを外注すると費用が膨らみがちで、小規模な事業者や創業期の企業では現実的に難しいケースもあります。
そのような場合でも、AIの支援を受けることで、
- 訴求力のあるデザイン案のイメージ化
- 伝わりやすい言葉づかいのヒント
- 最低限のSEO設計のサポート
などを“ある程度の水準”で整えることができます。
これは、Web制作の裾野を広げ、中小規模のビジネスにもチャンスをもたらす要素となっています。
2-4. 今後さらに進化するAIの可能性
現在のAIは、あくまで「優秀なアシスタント」の域を出ていません。
しかし、自然言語処理の進化や画像生成技術の向上によって、今後はさらに人間に近い感性や判断力を持つようになると期待されています。
たとえば:
- ブランドや企業理念に合わせた「トーンの自動調整」
- サイトの目的(集客/問い合わせ/採用など)に応じたレイアウト提案
- 地域性や業種ごとのユーザー傾向を学習したコンテンツ設計支援
など、より高度な“提案型AI”として進化していく可能性があります。
ただしその一方で、AIが“誤った情報”をもっともらしく生成するリスクも高まっていきます。これについては次章で詳しく述べます。
3. AI活用の注意点とハルシネーション
AIはホームページ制作の現場で非常に役立つツールとなりましたが、活用する上で避けて通れないリスクの一つが「ハルシネーション」です。
これは、AIが本来存在しない情報を、まるで事実のように出力してしまう現象で、生成AI特有の性質として知られています。
3-1. ハルシネーションとは何か?
ハルシネーション(hallucination)とは、生成AIが実際には存在しない事実や情報を、あたかも本物のように出力してしまう現象のことを指します。
これは、AIが嘘をつこうとしているのではなく、「もっとも自然に見える言葉の流れ」を作るために、“信ぴょう性”ではなく“自然さ”を優先して文章を組み立てるという仕組みに起因しています。
3-2. なぜAIは「正しい情報」ではなく「もっともらしい情報」を生成するのか?
生成AIの多くは、大量の文章データから学習した統計的なパターンに基づいて、次に続く言葉を予測する仕組みで動いています。
その際、AIは次のような視点で言葉を選びます:
- 「この文脈では、次にこの言葉が来る確率が高い」
- 「この組み合わせは過去のテキストでよく使われている」
- 「こういう言い回しの方が“自然な日本語”として認識される」
つまり、AIは「事実かどうか」よりも「それっぽいかどうか」を優先して出力するのです。
このため、たとえばAIが知らない情報を尋ねられた場合でも、「正確にはわかりません」とは言わずに、あたかも知っているかのようにもっともらしい内容を即興で作り上げる傾向があります。
これがハルシネーションの本質です。
3-3. なぜホームページ制作において注意が必要なのか?
ホームページは、企業や店舗の顔とも言える重要な情報発信ツールです。
そのため、掲載される情報には正確さと信頼性が強く求められます。
一方、AIは「自然で流暢な文」を作ることは得意でも、「正しい情報のみを出力すること」は苦手です。
したがって、AIが生成した文章をそのまま掲載してしまうと、誤解を招いたり、事実と異なる内容が載ってしまったりするリスクがつきまといます。
特に注意すべき点は、AIが出力した文章が非常に滑らかで説得力があるため、ぱっと見では間違いに気づきにくいということです。
それだけに、人間の目による確認と修正が不可欠です。
3-4. 正しく活用するために必要な視点
ハルシネーションを完全に防ぐことは現時点では困難ですが、「AIの性質を理解したうえで活用する」という意識を持つことが、最大の防御策です。
次のような視点が重要になります:
- AIは「調べている」のではなく「予測している」だけ
- AIは「信頼性」よりも「文章の自然さ」を重視して出力している
- AIが出力した文が流暢で魅力的に見えても、それが正しいとは限らない
このように捉えることで、「便利な補助ツール」としてのAIの可能性を活かしながら、「信頼できるホームページ」を維持することができます。
なお、実務においてハルシネーションのリスクを軽減するには、以下のような対策が有効です:
- 出力された内容は、必ず一次情報(公式サイト・公的資料など)と照合する
- プロンプトを工夫し、「事実ベースでのみ回答して」と明示する
- 生成された文章に対し、第三者による校正・レビューを必ず行う
- 重要な数値・実績・法的表現などは、必ず人間の手で再チェックする
3-5. ハルシネーションを防ぐ一番の方法は「疑うこと」
AIがもっともらしく誤情報を語ってしまう原因のひとつは、「自信があるように見えること」です。
事実かどうかを判断せず、言語的に自然な文章を出力するため、AIは本当のことのように誤った内容を返してしまうことがあります。
このとき、最も効果的な対策は、ユーザー自身が「これは本当か?」「事実に基づいているか?」と疑いの目を持つことです。
実際に、「それはハルシネーションでは?」「根拠を示して」とAIに問い直すことで、AIは初めて自らの出力の曖昧さや事実不明性に気づき、内容を保留または訂正する処理に入ります。
つまり、AIはユーザーの指摘を受けて初めて「気づく」構造になっており、人間の疑問がハルシネーションを防ぐ最大の鍵なのです。
このような対話的な使い方を心がけることで、AIと信頼関係を築きつつ、より正確な情報活用が可能になります。
4. まとめ|AIと人の力を融合させたホームページ制作へ
AIの進化は、ホームページ制作の現場にも大きな変化をもたらしつつあります。
画像やテキストの素材づくり、構成案の立案、コードの雛形生成、さらにはSEO分析まで、これまで時間とコストがかかっていた工程の一部をAIが効率化してくれるようになりました。
しかし、どんなに便利なツールであっても、その使い方を誤れば“信頼”というホームページの根幹を揺るがしかねません。
とくに、ハルシネーションに代表される「もっともらしい誤情報」のリスクは、今後AIを使うすべての現場にとって無視できない課題です。
私たちも日々AIの可能性と向き合いながら、「人にしかできない判断」や「信頼される表現の重要性」をあらためて強く実感しています。
最後に
AIは今後さらに進化し、ホームページ制作における役割も変化していくでしょう。
しかしどれだけ技術が進歩しても、信頼される情報発信の本質は変わりません。
これからのWeb制作において重要なのは、AIの力を適切に借りながらも、「誰に何をどう伝えるか」を人の視点で丁寧に組み立てていくことだと私たちは考えています。
エヌエー・システムズでは、AIの可能性を冷静に見極めながら、“成果につながるホームページ”を、責任をもって制作しています。


